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5000件記念インタビュー

OPERAの収録文献が平成22年5月10日に5000件を超えました!
5000件目の文献は、人間社会学部の大形徹先生による、「馬王堆房中書の書誌学的考察:十問・合陰陽・天下至道談を中心として」(人文学論集. 2010, 28, p.23-44)でした。
これを記念して、大形先生にお話を伺ってきました。

1. 「人文学論集」はどのような紀要ですか?

創刊は1983年で最新号は28号(2010年)です。年1回刊行で28年間刊行してきました。
創刊当時、総合科学部(現在の人間社会学部の前身)の中江彬先生の発案で、論文の発表の機会を増やそうという趣旨で刊行を開始しました。総合科学部日本文化コース、西洋文化コースの教員から成る「人文学会」による論文を収録してきました。府立大学が法人化された後は、人間社会学部から発行されることになり、現在に至っています。
25号から表紙をリニューアルし、毎回、自筆の魚介類の絵を使用しています。紀要の表紙はテキストのみのものが多いですよね。絵画を表紙に使うのは目新しいのではないかと考えました。
「人文学会」発行ですので、投稿者は学内の教員に限らず、非常勤の教員、院生、卒業生の方などから、幅広く投稿を受けています。留学生で卒業後、国内あるいは、母国の大学で研究者になった人からの投稿もあります。今回の号も上海の復旦大学という超一流の大学の教員からの投稿があり、いつのまにか「人文学論集」は国際的な論文誌に成長しました。


2. 大形先生の論文「馬王堆房中書の書誌学的考察:十問・合陰陽・天下至道談を中心として」(人文学論集. 2010, 28, p.23-44)はどのような内容ですか?

中国に「馬王堆」(まおうたい)という、約2000年前に埋葬された女性の湿屍(しっし)が腐らないで出土したことで有名なお墓があります。その墓から、十問・合陰陽・雑禁房・天下至道談といった数種類の房中術関連の書物が出土しています。これらの書物は房中術の理論が書かれた一番古い文献です。この理論は日本で鎌倉時代に書かれた「医心方」にも記されています。馬王堆出土文献と「医心方」などの重複する部分を調べたものがこの論文です。
房中術とは、「気」の流れにもとづく長生術で、「仙人になる方法」のひとつです。
「気」の流れといえば、現在、中国で気功が流行っていますが、元は「導引」(どういん)といいました。簡単に言えば体操のことです。今でもラジオ体操の最後には深呼吸をしますが、体操と呼吸術とはつながりがあります。ラジオ体操は夜にはあまりしませんね。朝起きてすぐに体操をし、深呼吸をして朝の清々しい空気を身体に取り入れます。「清」のさんずいへんを「米」に変えると「精」という字になります。清らかなエッセンスを取り込むと、それが身体の中で「精気」となるという考えです。房中術では男性が「陽」、女性が「陰」で陰陽の「気」の調和が原理となっています。


3. 先生の研究について教えてください。

中国の神仙思想、霊魂観念について研究しています。さきほど、仙人になる方法の話が出ましたが、仙人の研究は『抱朴子・列仙伝』(鑑賞・中国の古典9 角川書店)を平木康平先生と翻訳出版したことがきっかけです。『列仙伝』には数え方によって変わりますが、上巻に40人、下巻に30人、合計70人の仙人が登場します。仙人は百科事典などを見ると天仙、地仙、尸解仙(しかいせん)の三つに分けられていますが、仙人の原形は尸解仙といって、一度死んでから仙人になることです。棺から良い匂いがするので開けてみると遺体が消え、衣服や履だけが残されており、違う場所でその人が仙人となって出現したという話があります。このような話はエジプトのミイラの復活思想に近いものがあります。仙人になる方法のひとつに薬を飲む「服薬」がありますが、飲むのは普通の薬でなくて「仙薬」です。仙薬にも多くの種類がありますが、最初の仙薬は「芝」で、霊芝というキノコとされています。しかし、中国の画像石に描かれている形はキノコとは異なり、エジプトのパルメット文様と似た形をしています。これは、本来、睡蓮の形です。睡蓮の花は夜閉じて水の中に潜って眠り、朝、太陽が昇れば水面にあらわれて開くことから、太陽の動きにあわせた復活再生の象徴とされています。このエジプトの復活再生観念が中国に伝わり神仙思想として広まっていったのではないかと考えています。


4. OPERAについて、ご意見、ご感想、応援メッセージなどお願いします。

インターネットやデータベースで検索して探した論文の全文をその場で入手できるというのはとても有難いですし、OPERAで府立大学の研究成果を大学の外からもアクセスできるように広く公開してくれるのも有難いです。
「人文学論集」27号の表紙の言葉に

烏賊腹中血及胆正如墨、可以書字、但逾年則迹滅、惟存空紙爾
(烏賊腹中の血及び胆正に墨の如し、以て字を書す可きも、但だ年を逾ゆれば則ち迹滅し、惟だ空紙を存するのみ。)

と書きました。
烏賊の墨で書いた文字はいずれ消えてしまいますが、OPERAに保存された「人文学論集」は将来にわたって消えることはないとの思いです。OPERAにこの先ずっと論文が電子データとして保存されるというのは大変有意義なことだと思います。



大形先生、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

先生方のご協力のおかげで正式公開から1年1ヶ月で登録論文数が5000件を越えました。ありがとうございました。
今後とも、教育研究成果をより多くの人々へ届けるため、論文等をOPERAへご提供いただきたくよろしくお願いいたします。

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